No.22 「21歳のフリースクール代表」中村玲菜さん

 No,22

中村玲菜さん

「21歳のフリースクール代表」

1997年生まれ。21歳。神奈川県出身。16歳のときに相談団体「ココトモ」でボランティア活動をはじめ、18歳のときにはココトモの活動の1つとして、不登校などで悩む10代のためのコミュニティサイト「ティーンズプレイス」を設立。約5年間、悩みを抱える人たちの居場所づくりを行う。現在はコミュニティスペース「ココトモハウス」の管理運営をしながら、2018年6月にフリースクール「Riz(リズ)」を設立・代表を務める。不登校生を中心に10代への相談活動・支援をおこなう。

なりたい自分になれる「フリースクールRiz(リズ)」とは?

フリースクールRiz(リズ)には、様々な理由により学校へ行けなくなってしまった、もしくは行かないことを選択した子どもたちが集まります。勉強を教えたり相談にのったり、ゲームやおしゃべりをして日々過ごしています。

中学生の時にいじめを受け、不登校になりました。そんな自身の経験から、不登校生に一番必要なものは彼らの「居場所」だと考え、2018年6月に東京都目黒区にフリースクールRizをオープンしました。

Rizは、悩みを抱える子ども自身が、自分で選択・行動できるようにという想いを込めて、Realize(自己実現)を略して名付けました。私たちは「なりたい自分になれる」場所を目指しています。

フリースクールの運営と並行しながら、月に一度、不登校のお子さんを育てる保護者の方向けにセミナーを開催したり、ライン@にて保護者の方と小中高生の悩みを聴いたりしながら、今まで約800名以上の方の相談にのってきました。また、‪NHK番組「FACES」や、TBS「報道特集」にて紹介、多数メディアにも出演しています。‬‬‬‬‬

今、中高生に一番多い相談は、人間関係の悩みです。クラスになじめないことを親や周囲の誰にも相談できない子がたくさんます。私にできることは、今学校へ行くことができなくなってしまった子たちに、可能性・選択肢を提示すること。学校に行ってもいいし、行かなくてもいい、家にいてもいい、それ以外にもこういうRizという居場所があるよと、いろいろな選択肢を一緒に考えて、その子自身が行動・選択できるようなお手伝いをしています。

フリースクールができるまで。中村さんの幼少期の原体験とは?

神奈川県に生まれ、4つ上の兄が一人いて、4人家族です。幼稚園の頃は「輪」を大事にするタイプで、おもちゃは遊んでいる人がいたら空くのを待って、ブランコにも永遠に乗れないというように、周囲を気にしながらも、そもそも物欲があまりない子どもでしたね。空をみたり、友達とおしゃべりしたりしているだけで楽しかった。体格が小さくて、喧嘩すると負けるので、いかに喧嘩にならないか考えて過ごしていたように思います。

家庭内では、兄がもともとアレルギー持ちの病弱な体質で、母親がつきっきりのことが多かったので、何も主張せず迷惑をかけないことが、褒められるきっかけなんじゃないかと思って、おとなしく過ごすのが一番だと思っていました。父親は仕事が忙しく、母親も家事が忙しそうだったので、病気のときくらいしか、かまってもらった記憶がありません。

小学校の頃は幼稚園からは一変して、我が強いタイプになりました。家の中ではおとなしくしていたのですが、早生まれなせいか勉強についていけず、スポーツもできない。どれも勝てるところが見当たらなくて言葉で主張するタイプになったんだと思います。意見を出すのは得意だったので、学級委員として会議や話し合いを率先し、クラスを引っ張っていくのは好きでした。

誰よりもお遊戯会とかをまじめにやって、成果を出すと褒められるのが嬉しくて、それでまたがんばっていましたね。みんながやりたがらないことを進んでやってたので、先生からすればありがたい生徒だったと思います。今思えば周りの大人に褒められたい基準で行動していたように思います。

いじめ・不登校・家庭内不和のはじまり

中学へ入学してから、すぐに学級委員になりました。小学生の頃は、すすんで意見し、クラスを引っ張っていくことで、周りからはありがたがられていたのですが、中学校になってからは、そのこと自体が、割とめんどくさがられるようになってしまいました。

クラスの男の子3人グループに悪口を言われるようになってしまい、「学級委員のくせにこんなこともできないのかよ」と意地悪な投げかけをされたり、あえて名前を出さず、私のことだとわかるように悪口を言われたりもしました。

クラスにいづらい雰囲気になってしまい、仲の良かった女の子に相談したら、「そんなこと言いう人だと思わなかったよ、もっと強い人だと思っていた、ちょっと言われたくらいでへこむなんて、幻滅した。」と言われてしまい、同年代の誰にも相談することができなくなってしまいました。

担任の先生に相談したら、男の子たちを直接呼び出して止めなさいと言ってくれました。その後、彼らの反応はより陰湿になり、先生にばれないところでいじめがはじまってしまいました。1年生の夏休みに入る前の時点で学校へ行けなくなってしまい、二学期も行くことができませんでした。

二学期がはじまってひと月くらいしてから、「学校へ行かない?」と親からも先生からも言われるようになりました。それで、父親と私、担任の先生と3人で面談をしたのですが、私は先生のことを“相談したけどダメだった人”とまったく信用していなくて、面談も、先生と父親が話しを進めている感じで、先生は一度も私の目をみて話してくれませんでした。どんどん2人で話が進んでいき、「じゃあ次、学校いつ行く?」と行くこと前提で話が進んでいました。学校にいけない負い目があった私にとっては、そこを理解してもらえないことがとても悲しかったですね。

学校に行く約束をした当日は結局行くことができなくて、父親に「嘘つき」と吐き捨てられてしまいました。家にも居場所がないと思うようになり、家にいても仕方がないので、三学期がはじまった頃からまた、学校へ行くようになりました。

二度目の不登校・そして転校…

学校へ戻ってからは、いじめはさほどなかったのですが、2年生にあがってひと月くらいで、また陰口を言われるようになりました。体育祭のときに、3人グループの男の子の一人に、「遅刻するくらいならくるなよ」と言われました。行動がだめだとか、言い方が気に入らないではなく、私の存在自体を否定されたと感じショックを受け、翌日からまた学校へ行けなくなり、二度目の不登校がはじまりました。

不登校の時は学校のものをみたくなかったので、教科書を段ボールにしまって、テレビか漫画か食べるか寝るか…唯一楽になったのは、SNSとか掲示板を使って、いろんな人と交流していたことですね。当時からいろいろな情報があり、自分と同じような境遇にいる人の多さに安心しました。掲示板では心無い言葉を見かけることもあったけれど、話を聞いてくれる人もいて、見た目や年齢で判断されないインターネット上の世界は、私の唯一の居場所でした。この時の経験があったから、最初に取り組んだのが「サイト作り」だったのだと思います。

二度目の不登校の時は、今度はもう二度と学校へは行かないという姿勢で、親は諦めムードでした。またか…という感じで賛成も反対もされず、話しをきいてもらうこともなく、という感じで過ごしていたところ、夏休みくらいに転校をしないかと提案されて、学校には行きたくなかったし、家にいても両親とも関係が悪く、転校すること決め、中学校2年生の二学期から学外の中学校に通いはじめました。

最初は新しい学校でもどうせダメなんだろうなと思って、行けたり行けなかったりしたのですが、最初の担任の先生がとてもいい人だったんです。はじめましての時も、私と目があって挨拶をしてくれて、そのあと父に挨拶して、前の学校の担任の先生と全く違って、はじめて大人の人に目を見てもらった気がしました。この先生だったらうまくいくんじゃないかと思えて。。。

遅れていた勉強もきめ細かく全部わかるまで教えてくれ、クラスの相性がよさそうな子を紹介してくれました。部活にも所属でき、クラスで悩みを相談しても受け止めてくれる親しい子もできました。

学校の先生を目指すことになったきっかけ

転校先の先生がきっかけで「学校の先生になりたい」と思うようになりました。

転校先でも、合唱祭の準備をしていて「歌い方がヘン」と言われ、髪を切れば「あいつショート似合わない」と言われ、ちょっと間違うと「勉強できないじゃん」と言われ、些細なことからちょっとした陰口を言われる…ということは度々ありました。でも先生も仲のいい子もいたので、それを失いたくないと思って、言ってきた子の女の子を呼び出して一対一で注意したことがありました。先生も呼び出して、先生がその子との話しあいの時間を設けてくれました。先生は100%私の味方になるでもなく、私もちょっと悪かったなと受け入れる部分があり、すごく有意義な話し合いができ、それがすごくよかった。

転校する前の学校では、話しを聞いてくれる人がいなくて、居場所がなかったけれど、先生や誰かひとり信頼できる人がいたら、もしかして学校に対して受ける印象は全然違かったかもしれないと思うようになりました。学校の先生を目指しはじめた一番のきっかけです。

数学の教員を目指すも、大学を中退。フリースクール設営のきっかけとは?

神奈川県立高校に入学してからは、勉強がすごく得意になりました。勉強ができたことで、先生や周りに正当に評価されるのがたまらなくうれしくて、先生になりたいという気持ちも強まりました。特に数学が得意だったので、大学でもっと数学がやりたいという気持ちがどんどん膨らんでいき、指定校推薦で大学に入ることになりました。

その頃、当時16歳で相談団体「ココトモ」でボランティア活動をはじめ、18歳のときにはココトモの活動の1つとして、不登校などで悩む10代のためのコミュニティサイト「ティーンズプレイス」を設立しました。「ココトモ」は年代も仕事もバラバラな悩みを持つ人たちが自由にやってきて、スタッフと話しをするという場所で、現在のフリースクールを設立するにいたる原点になりました。

大学では、答えのないことに対して研究するのがとても面白かったですね。いろんな地域の人や考えの違う人と話すのもめちゃくちゃ楽しかった。高校生の時は勉強をまじめにやってると「あいつまじめにやってるよ」と言われたけれど、大学の図書館にこもって一人でいても何も言われない。やりたいことを全部できました。

その後は、教員免許を取得するために教職課程で学んでいましたが、実は、2018年の3月に大学を中退しました。学校の先生になりたい一番の理由は、自分が出会った先生のように、「信頼できる大人が学校の中に一人でもいたら、辛い時期を短くできたり、もっと早く乗り越えられたりしたんじゃないか」という思いからだったのですが、学校の先生って、単純に忙しすぎるなって思ったんです。授業があって部活もあって、修学旅行の準備もしなきゃとか。

学校の先生になりたいというよりかは、とにかく子どもの居場所をつくりたいという想いが強いことに気づいたんです。勉強を教えるのも楽しかったけど、先生という職業が忙しすぎて、子どもとの時間がなかなかとれないなと感じました。

大学2年時にアルバイト先で仲良くなった人、そして「ココトモ」で知り合った人、自分と3人で仲良くなり、次第に、不登校生たちの居場所創りについて語りあうようになりました。フリースクールだったら、許可もいらず自分たちでつくれそうだ!そこから、フリースクール設立を決めました。3人でコンセプトを固め、大学中退と同時にRizの設立に至りました。

活動を通して目指す社会・今悩んでいる中高生へのメッセージ

私が目指すのは子どもの権利を守れる社会です。すべての子どもに、生きるための選択肢を持ってもらいたいと考えています。自分のような幼少期を過ごす子どもを増やしたくない。子どもが子ども時代を過ごせるようになってほしい。無理して周りに気を使って、先生や親や周りの大人たちの顔色をうかがって過ごさなくてもいい、子どもらしいままで遊んだりできる場所がないといけなくて、すべての子どもたちにありのままの居場所があったらいいなと思っています。

日々たくさんの中高生と接していますが、子ども一人ひとりが必要としていることや悩みが違うので、根本で共通していることはあっても、その子にあった相談にのることが難しいと感じるときもあります。子どもって選択肢が少なくて、私が学校に行かなくてもいいっていっても、親が学校に行かせたかったら、どうやってその子自身の希望を最大限に叶えてあげられるのかという正解は未だにわかりません。学校や家がいづらくなってしまっても、ここにはRizっていう居場所もある。と、第3の選択肢を提示し、子どもたち自身が、自分で選択・行動ができるように今後もお手伝いしていきたいです。

学校に行かなくてもいいし、勉強しなくてもいい。実は世の中にやらなきゃいけないことって以外と少ないんです。一般的なレールをたどっている人だって想像以上に少なくて、そこと自分を比べて、学校にいかなきゃ、高校に進学しなきゃって自分を押し込めなくても大丈夫ということを、これからも伝えていきたいです。

それから、よく、大学まで辞めて、フリースクールを設立するなんてすごいねって言われるけど、葛藤もあります。イベントを企画しても人が集まらなくて、落ち込む日もたくさんある。そういうことも全部失敗談として、子どもたちには全部さらけだすようにしています。

Riz代表・中村玲菜さん 将来の夢は?

フリースクールを軌道にのせることがまずは目標です。今通ってくれている子たちは、これから高校の進路選択もあり、「将来どうやって生きようか」と考えている真っ最中。やりたいことを見つけて欲しいし、彼らを最大限応援したいです。彼らがやりたいことがみつかったときにそれがどういうものであっても、彼らの役に立てる仕組みをつくっていきたいです。

フリースクールを立ち上げましたが私にとっては通過点です。10人・20人単位でしか子どもたちと関わることができなくて「それでいいじゃん」とは思えなくて、将来は、不登校で悩む子どもを0にしたい。

そのためには、私と同じように「居場所」をつくりたいと考えた人が、物理的・金銭的な理由で、動けない状況を改善していく必要があります。お金を貯めて退職後にフリースクールを自分で作るというケースも多いけれど、もっと若い世代が「何かしたい!」と気持ちをもったときに、行動に昇華し、育てていけるような仕組みを作っていきたいです。まずはモデルケースになって、その後はこういう風な段取りで、第二のRizを創れるよ、と提示していきます。

フリースクールRizからのお知らせ

 読み終えて気になった方は気軽にご相談ください

フリースクールRizでは無料相談・無料見学はいつでも受け付けているほか、毎月最終日曜日には、スペースを無料開放しています。ぜひお気軽にお問い合わせ(takaren@riz-school.com)ください。

 

中村玲菜さん
インタビューのご協力
誠にありがとうございました!

 

 

第4回ソーシャルドリームコンテストを観に行こう!

10月6日(土)は、フリースクールRiz代表の中村玲菜さんも登壇!

会場でぜひ、お待ちしております!

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主催:NPO法人アラジ