NO .17 生きるをつなげる~A-live connect代表~ 卜沢彩子さん

NO .17

生きるをつなげる~A-live connect代表~

卜沢彩子さん

1987年生まれ。A-live connect代表。子どもの頃からの度重なる性被害の経験から2009年から実名・顔出しでサバイバーとして経験を発信し、個人やNPOで支援・啓蒙活動をつづけている。性にとどまらない様々な社会問題を、多様な人や分野をつなげることで解決したいと考え「生きるをつなげる」をコンセプトにA-live connectを開業。恋愛・性をはじめとした人間関係やコミュニケーションに関する相談や講演活動、記事執筆、SEX and the LIVE!!プロジェクトの運営などのコンテンツ作成・イベント運営を行っている。純粋培養意識高い系。英才教育を受けたオタク。歌うことと和柄とねこが好き。

@SEXandtheLIVE

 

生きるをつなげる~A-live connect代表~卜沢彩子さんの現在の活動内容とは?

A-live connect は「生」を中心に、様々な人や価値観・他分野をつなげることで、複雑化した社会問題を解決する新しい価値を生み出していく事業を展開しています。aliveは「生きている」という意味。Liveは「生き方」、「住む」、「生中継」などの意味があり、「A」を分けて大文字にしたのは、他者と溶け合うようにつながるのではなく、一人の人間として自立した上でつながることが大事だという意味を込めて、A-live connect と名付けました。

私は2009年から実名と顔を出して発信をはじめ、性被害のサバイバーとして、少しでも多くの人に情報を伝えるため、経験をお話したり、様々なイベントを運営し、性暴力についての問題提示をしてきました。

現在は、イベント運営、コンテンツ作成、人間関係・恋愛・性に関する相談や、記事の執筆、自分を見つめなおすセッションを行っており、2016年の8月に個人事業として屋号をたてるというかたちで運営しています。

SEX and the LIVEプロジェクトの魅力

「SEX and the LIVE」は“誰もが性と生に向き合える社会”を目指し、セックスポジティブな4人のアクティビストが性についてホンネで語るプロジェクトです。ときには専門家も交え、4人が等身大で楽しくまじめに語ることで、女性が性の話題を話せる土壌、場を作り、性を主体的に選択できるようにすることが目的です。性の語りは生殖、性規範中心の性教育や、性暴力などの社会問題といった堅めの話しから、AV・漫画などの娯楽コンテンツや、過激なセックステクニックなど両極端になっている現状があります。

4人の全く違う個性をもつ女性アクティビストが、性について皆さんに教えるというのではなく、世の中に溢れる性の話を身近にある様々なテーマに落としこんで語ることで、語りを巻き起こして、性が自分の生き方に密接に関わっていることだと知り、主体的に選択ができるようになることを目指し、場作りを行っています。

恋愛や結婚・パートナーシップ、多様なセクシュアリティの在り方などについて多く語り合っています。性の問題は、比較的関心のある人にしか届かないと感じていて、他のエンターテイメントや関心を持ちやすいカテゴリーと組み合わせることで、関心をもってもらえるのではないかと思い、「SEX and the LIVE」プロジェクトが始まりました。4人のトーク風景をYouTubeで動画配信したり、ゲストを招いたトークイベントを主催したり、テーマを決めて少人数で語るサロンを開催したり、noteで記事を執筆し発信したりしています。

一緒に活動する
SEX and the LIVE!!のメンバー

2016年11月19日にはキックオフイベントとしてAV監督の二村ヒトシさんや元AV女優で脚本家の神田つばきさんをお呼びしました。2017年の4月15日にはライターの三浦ゆえさん、同じくライターでトランスジェンダー活動家でもある畑野とまとさんをお呼びし、「脱・タラレバ女!!」~これからの“モテ”の話をしよう~というトークイベントを開催しました。他にも不定期で様々なコンセプトイベントを開催していて、性の枠だけに絞られない、様々なテーマとコラボしてコンセプトイベントを開催してます。

例えば「こじらせ童貞バー」は、童貞をコンテンツにしてきた高学歴童貞の方々がそれぞれ研究結果をプレゼンし、お酒を飲みながらそれぞれの立場からトークするイベントです。「メサイアコンプレックスバー」は、人を助けることで自尊心を満たそうとしてしまう“メサイアコンプレックス”を抱えた人が集まるバーで、「ダメ男に尽くしてしまう」など恋愛や友人関係、支援の場などで苦しい人間関係を形成しやすい人が集まって対話をします。お酒を飲みながら経験を話したり、知識を共有することでどうしたら健全な人間関係を築いていけるかを考えていくコンセプトイベントになっています。「捨て犬拾いバー」は、「捨て犬拾い」の卜沢彩子とたかだまなみのコラボイベントです。メサイアコンプレックスを抱えている女性が陥りやすい、「この人は私がいないとダメなの!」という状態はいわゆるわかりやすいダメ男との関係を想定されることが多いけれど、実際は子犬のような純粋で優しい人と依存関係になってしまうことも多く、そんな「捨て犬拾い」を行いやすい2人が主催しお酒を飲みながら対等なパートナーシップについて考えるイベントになりました。

活動をはじめてわかった意外なこと

SEX and the LIVE!!

トークイベントの様子

「SEX and the LIVE」を実験的に1年やってみて驚いたことがあって、主に女性向けにはじめたコンテンツだったのですが、参加者が男女いつも半々くらいなんです。性のことやジェンダーのことで、生きづらさを感じている人は男性にも多いんだなと、実感しました、女性は悩みを話せても、性の楽しみ方は話せなくて、男性はネタ的には話せるけど、まじめに話せる場所がないっていう、男性・女性ならではの悩みがあって。

性の問題について、あまり関心がない人にもコンセプトを届けるために、たくさんの幅をもってコンテンツを考えるようにしています。今後の活動でも、もう少し親しみやすいトピックやコンテンツを考え中です。

活動にいたるきっかけ~幼少期からの度重なる性被害~

子どものころから何度も性被害に遭い、PTSDを抱えて生きてきました。小学生の頃、知らない大人に下着の中を触られたことからはじまり、高校時代は、電車で何度も痴漢に遭い、そのたびに警察に行く日々でした。そして、大学時代、囲み痴漢に遭い、閉所恐怖症・対人恐怖症に陥り倒れてしまうようになって学校に通えなくになってしまいました。大学4年生の時には、心を壊し重度のうつ病で休学していました。自分自身がPTSDだと知らずに生活していて、日々理不尽に感じていました。幸い男の人が怖いということはありませんでしたが、被害にあって精神疾患をかかえ体調を崩してしまい、やりたいことができないことが一番悔しかったです。

性被害がどういう状態で起きるのか知らない方が多いのが実情で、当時は情報を集めようと思って検索しても全然出てこなくて不安がありました。被害を名乗り出るとセカンドレイプを受ける現状があるので、傷ついている被害者は語れないことが多く、ニュースなどでは顔にモザイクをかけ、声を変えて匿名で被害を語様子が流れること多く、そうすると被害が身近にないと思っている人から見ると生きている人間かどうかわから、性被害はフィクションの中の出来事と思われがちなんだと思います。

被害を知ってもらうことでセカンドレイプをなくしたい、そして実際に生きている人間だと示したくて、大学4年生の頃からブログで性被害について実名で発信するようになりました。私自信、苗字が珍しいので、検索すれば私の名前が出てきます。リスクも高いですが、実在する人間とわかるように顔と名前を出すことしました。

また、友人の妹が同じように性被害を経験していて、当時mixiのコミュニティで性被害の現実を伝えたいという被害者の人たちが、経験をシェアしあい、現状を発信していくうというコミュニティを立ち上げました。そうしたら、コミュニティに書きこみをしてくださった、性暴力をゼロにすることを目標にかかげる「しあわせなみだ」の中野さんと繋がり、ブログをみたらすごく情報がまとめられていて、その後は、個人の活動と併せて「しあわせなみだ」の副理事長として活動をさせていただきました。

活動をはじめて経験を語り、講演会を開催したり、イベントに登壇させていただくようになったことで、情報を得ることが出来たり、様々な活動をする人とつながり、同じような被害に遭った人たちに声をかけてもらえるようになりました。

麗澤大学ヒューマンライブラリーにて

ゼミ生と本役の留学生と

2015年から生きている人たちを本として貸し出し、社会的マイノリティの人たちをはじめ、様々な生き方をしている人を招き、来場者にその人生や経験を語ってもらう「ヒューマンライブラリー」に参加しています。、そこで様々な活動をしている人と繋がることができました。他の「本」の方とお話するうちに、性の問題は実は様々な生きづらさの中で起きていて、いろんな問題と共通する部分も多く、複雑に絡み合っていることに気付きました。

自分自身は性被害サバイバーとして発信し続けているけれど、弱くてかわいそうな人間であるか、強くて聖人のような人間のどちらかの両極端の被害者像を求められることが多々ありました。自分自身は、もっと一色単にカテゴライズできない、いろんなハッシュタグがあり、性被害者という一つの要素、カテゴリーに押し込まれてしまっているのが現状です。

例えば、私は女性でオタクですが、オタクだから持っている特性を女性だからに納めてしまうのはおかしいし、多様な生き方をしている人を一つのカテゴリーに押し込めてしまいたくないと感じています。様々な社会問題も、問題の切り分けができておらず、一つの枠に押し込んで打ち消してしまうことがあります。その人のパーソナリティを発信できる場を作っていきたいです。誰かと混ざりあうようにつながるのではなく、一人の人間として自立したうえで繋がることを目指しているのがA-live connectです。

生き方や多様性を認めていった上で、複雑化した問題を切り分けながら解決していくべく、「性」に限定せず、「生きる」ということをテーマに、今後も総合的な取り組みを行っていきたいです。

自身でも9月9日(土)に豊島区の若者支援スペース、みらい館大明ブックカフェでヒューマンライブラリーを主催することになりました。カテゴリーに振り分けるのでなく、ハッシュタグをあくまで目印として付け、対話することで様々な生き方をしている人に触れてほしいと考えています。

今後の目標・将来の夢

今後はSEX and the LIVE!!では自身信のWEBメディアを立ち上げ、性や恋愛・パートナーシップのプラットフォームを作りたいと思っています。また、既存のSEX and the LIVEと平行して、A-live connectでは恋愛・性・食・心身の健康・美容・IT・福祉・サブカルチャー・居場所などを中心に組み合わせながら事業を展開していきます。A-live connect はさまざまな要素を持った人が活かし合えるコミュニティや場作りを続け、仕組みづくりをしていきたいと思っています。

性暴力に遭って悩んでいる方へのメッセージ

あなたは性暴力に遭っていい人間ではありません、あっていい人なんて存在しません。たとえあなたがどんな悪いことをして、どんな落ち度があろうと性暴力を受けていい理由にはなりませんし、遭って仕方ないことなんてありません。性暴力は「魂の殺人」と言われるくらいに尊厳を奪われることであり、ダメージが大きいかもしれません。しかしこの程度大した事ない、我慢しないとなどと思う必要はありません。もしかしたらダメージが少ないことに罪悪感を感じているかもしれません。しかしあなたの感情や行動は誰が決めるものでもありません。あなたの身体の自由は誰にも奪われていいものでもありません。あなたは生きていて、あなたの心と身体はあなたのものです。それをただ、覚えていてほしいと思います。あなたがしたいこと、好きなものを大事にして下さい。そして、被害に遭ったらどうすればいいのか、少しでもサポートの場を知っておいてほしいと思います。あなたがあなたとして生きていけることを願っています。

 

■被害に遭ったら何をすればよいか (NPO法人しあわせなみだ)

http://shiawasenamida.org/m01_01

■性犯罪被害相談電話

https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html

■性暴力被害者支援ワンストップセンター

http://purplelab.web.fc2.com/onestopcenter.html