No.15 日本を優しさ溢れる国にしたい-ask me! 代表:萩野谷未歩さん

 

No.15

ask me! 代表:萩野谷未歩さん

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萩野谷未歩さん

外国人観光客向け道案内ボランティア団体ask me!創設者。21歳の時、抑えきれぬ好奇心のままに、大学を1年間休学し世界一周の旅へ。今まで訪れた国は40か国以上。様々な国を旅する中、その地の事を何も分からない“外国人である自分”を助けてくれたのはいつも現地の人で、優しくしてもらう度にその国が好きになった。その経験から、国のイメージは国民が創っていて、また自分も日本という国を創り上げている一員なのだと気付く。帰国後、日本に来てくれた外国人観光客に、良い思い出を作って帰って欲しい。“日本人優しかったね”  “日本は素敵な国だね”と思って欲しい。そんな想いからask me!を創立。2017年4月、NPO法人として登記。“困っている人がいたらすぐそばに手を差し伸べる人がいる”そんな優しさ溢れる世界を目指している。

   

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日本を優しさ溢れる国にしたい-ask me!代表 萩野谷未歩さん

初めまして、代表の萩野谷未歩です。ask me! を立ち上げたきっかけについてお伝えしたいと思います。21歳の時、抑えきれぬ好奇心のままに、大学を1年間休学し、世界一周の旅に出ました。その国のことを何も知らない“外国人である私”を助けてくれたのは、いつも現地の人でした。優しくしてもらうたびに、その国が好きになり、国のイメージはその国の人たちが創っていて、また私も日本という国を創り上げている一員なのだと気付きました。

そして帰国後、日本を優しさに溢れる国にしたいと言う想いから、ask me!を立ち上げました。日本に来てくれた外国人観光客に、いい思い出を作って帰って欲しい。“日本人優しかったね”  “日本は素敵な国だね”と思ってほしい。そんな想いで、ask me!を立ち上げた2014年から現在までの2年半、約400人にまで増えたボランティアメンバーと、約1万人の外国人観光客に道案内の活動を行ってきました。

主に外国人観光客が対象ですが、例え誰だとしても“困っている人がいたらすぐそばに手を差し伸べる人がいる” そんな世の中を目指して活動しています。誰もがすぐに行うことのできる優しさを伝染させるきっかけとして、ask me! を創りました。この活動を通じ、日本が少しでもより良い国になればと願っています。

ask me! ができるまで

群馬県みなかみ町出身で、小さい頃からしょっちゅう家族で海外旅行に行くような、旅が大好きな家族のもとに生まれ育ちました。オーストラリアが好きで17歳の時、1か月の短期留学に行きました。初めて海外へ1人で行き、寂しさや不安の中で、いろいろな経験をしました。

その後は獨協大学の法学部国際関係法学科へ進みました。小さい頃から海外へ行き、自分と同じくらいの年の子どもが物乞いをしている姿などを見てきた影響もあったからか、自然と国際協力を専攻する道に進むことになりました。

人種の壁、言葉の壁、文化の壁にぶつかった瞬間・母からの励ましのメール

19歳の時に、グローバルな修学旅行と言われている、現地発着型バスツアー・コンチキツアーでヨーロッパへ行きました。CON(continental=大陸)+TIKI(ニュージーランド先住民マオリ族の言葉で“仲間”) つまり、“大陸の仲間と旅する”というのが語源のコンチキツアーは、18歳から35歳までの若者を対象とした国際的なバスツアーなのですが、そのときに生まれて初めてバックパックを背負ってヨーロッパ12か国を旅しました。

このツアーに参加していなかったら、のちに世界一周に行くことも、ask me!の設立にもいたらなかったと思います。現地に着くまでどこの国の人が同じツアーに応募しているのか分からないのですが、いざヨーロッパでの旅が始まると、全世界から集まった50人のメンバーの中で、なんとアジア人は私だけ…。残りの49人は全員英語のネイティブスピーカーだと分かり、かなり不安になってしまいました。

1か月間ずっと同じメンバーと一緒に生活するんですけど、初めて人種の壁、言葉の壁、文化の壁にぶつかりました。ツラいって言える人もいなくて、ノンネイティブの人がいれば話しやすかったと思うのですが、英語がしゃべれるしゃべれない以前に、輪に入っていけない感じが辛かった。英語に苦手意識があったわけじゃないのですが、大人数でわっと話しが始まると話しについていけず、ものすごい孤独感で、みんなが笑っているときにとりあえず笑ってみたり…みんなが気にかけて声をかけてくれても、その感謝を上手く英語にして返せず申し訳なさと自分の不甲斐なさを感じ余計に辛くなりました。

2日目にみんなが遊びに行ってるときに、ホステルに残って大泣きしてしまって、初めて日本に帰りたいと思いました。コンチキツアーを勧めてくれた親には心配されたくなかったので、元気でやっているよとメールを送ったのですが、「日本人1人だった」って言ったら、「すごくラッキーだね。みんな優しくしてくれるだろうし、英語を磨くいい機会だから、いっぱいいろんなこと吸収しておいで」という励ましのメールをくれて、それでまた泣いてしまって。でもこのメッセージに本当に勇気づけられました。


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母からのメッセージ

このままの気持ちで1か月過ごしたらダメだと思い、3日目からはどんどん話しかけていったら、その後は最初に泣いていたのが嘘のように本当に楽しく過ごせました。勝手に壁を感じて勝手に疎外感を抱いていたのは自分だけで、みんなは本当によくしてくれて、距離を作っていたのは自分だったんだなって思いました。お別れするときには号泣するくらい、本当に楽しい1か月でした。

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ツアーメンバーとモナコにて

コンチキツアーは自分のふがいなさや、英語でのコミュニケーション力の低さに気づき、でも自分の気持ち次第で人はどうにでも変わることができるということ、全然違う人種で、育ってきた環境も違う人たちと、同じ時間を共有して、同じ思い出を作って、仲良くなれることはすごくステキだし最高に楽しいということ、そんなことに気付くことのできたツアーでした。

21歳にして世界一周へ

ヨーロッパ10数か国を周ったあとに、もっといろんな世界を見てみたいな〜と母親にボソっと言ったら、まさかの「細々行ってないで、まとめて一気に行ってきたら?」と返ってきて。普通は娘が1人で海外を放浪するなんて反対されると思うんですけど、元バックパッカーの両親のもとに生まれて、すごくラッキーだと思った瞬間ですね。笑

それまでは世界一周ってすごい人がやるものと思っていて。でもヨーロッパを周ったので、同じようにアジア、アフリカ、北米、南米、…って続けてやればいいって思ったら自分にも出来る気がして。「どうせなら1年くらいかけて行ってくれば」と両親に背中を押され、世界一周の旅に出ることにしました。

世界一周の経験からask me! を立ち上げる。

世界一周を終え日本に帰ってくると、自分はどれだけ恵まれた環境で育ってきたのかを改めて実感しました。蛇口からお湯は出てくるし、カフェに入っても床に荷物を置いておけて、女1人でも夜に外を出歩けるなんて、なんて平和なんだろうって、今まで当たり前だったことがとにかくすごく恵まれていることなんだと感じられて。

それと同時に、世界一周中に東京オリンピックの開催が決まり、出国する前より明らかに外国人観光客が増えていて、街中で地図を広げて困っている人がたくさんいるのに、目の前を通り過ぎていく日本人、話しかけられても断っている日本人の姿をたくさん見かけて悲しくなりました。

世界中を旅して、“自分が外国人になって”気づいたことがあります。どんなに汚くてインフラが整っていなくて不便な国であっても、親切に優しく話しかけてくれたり、困っているところを助けてくれたり、現地の人が優しく接してくれる国は大好きになった。反対に、たまたま不親切な現地の人に何回か遭遇してしまうと、その国がどんなにきれいで、ご飯がおいしくて、世界遺産があって、素晴らしい国でも、もう1度行きたいとは思わなかった。つまり出会った人の印象で、その国のイメージは変わるということに気づいたんです。現地の人のフォローがなかったら、私は最後まで楽しく旅することはできなかったから。

だから日本に帰ってきて街の様子を見て、日本ほど豊かで恵まれていてこんなに素敵な国はないのに、このままではせっかく日本に来てくれた外国人観光客が、「日本人は冷たい」と思ってしまうのではないか。と焦りました。この状況をどうにかしなければと思い、困っている人が例え外国人だとしても自然と声をかけることができ、いつでもやさしさを贈れる人を増やしたい、という想いからask me!を創設しました。

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タイからきたご家族と

ask me!は、東京では主に渋谷や上野で10人~15人ほどのメンバーが集まり、3時間ほど、道に迷っている外国人観光客に声を掛け案内し、その後1時間のミーティングで街中の案内情報やエピソードを出し合い、良かった点や、悪かった点の共有をする、という活動を1つのサイクルとしています。活動中はボランティアメンバーがトラブルに巻き込まれないよう、10人〜15人ほどが2〜3人のグループに分かれ、グループには男性を入れるようにしたり、電車に乗ったりして遠くまで行かないこと、などをルールにしています。

設立から現在までの2年半で、東京での活動を中心に、神奈川・大阪・福岡・長崎にも支部ができました。私が持っているビジョンに強く共感してくれた友達が、自分の住んでいるところでもやりたいと言ってくれ支部ができ、現在までに100回ほどの活動を行い約1万人の外国人旅行客と接することができました。

ask me!は“困っている人がいたらすぐそばに手を差し伸べる人がいる”そんな環境作りを目指しています。この活動がいつか当たり前になって、わざわざ活動として道案内を行わなくても、みんなが自ら困っている人に声をかけられるような文化を日本に残していきたいです。

ask me! は優しさの連鎖を世界中に届ける、恩贈りのできる場所

ask me! の活動を通して、恩贈りができたらいいなって思っています。世界中の人に助けてもらって、世界一周の旅ができたけれど、道端で一瞬出会って助けてもらった人に直接恩返しする事は難しいから、その代わりに今度は違う誰かに私がしてもらって嬉しかったことをしてあげる。そして私が道案内した人たちも、どこかで誰か困っている人を助けて、その恩贈りで優しさの連鎖が世界中に広がればいいなって。

大学の時に専攻していた国際協力の勉強は、自分が無力でなにもできないことに苦しくなってしまいました。でも自分1人で世界を変えようとするんじゃなくて、世界を少しでもよくしたいという想いを持つ人を増やす。なにかしてあげた人が、また次の人になにかをしてあげる。その点が繋がり線になって世界中に広がっていく。そういう小さな想いが連鎖し続けることで、世界中が幸せになる活動をしたいと思っています。

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NHKニュース出演時

ask me!設立当初は3人だったボランティアメンバーは、現在約400人まで増えました。この活動を始めてみて気づいたのが、バックパッカーで私と同じような思いをもち、道案内を通して日本を変えたいという人ももちろんいますが、英語を勉強したいとか、外国人と関わりたいとか、ask me! はそういった想いも叶えられる場所であるということ。

ask me! での経験を通して、英語への苦手意識を克服したり、世界中に友達ができて、世界へ一歩踏み出すきっかけにもなれば、と思っています。

誰もやったことのないことに挑戦する不安と葛藤

同じような活動をしている人がまだ当時はあまりいない中で、やったことのないことをやる不安はいつもありました。仲間がいなかったのが最初はすごく辛くて、設立当初は1人ですごく頑張ってる感がありましたね。相談できる人もいなくて、不安との戦いでした。

だんだん仲間が集まってきて、夢を語りあえる人が増えてなんとか活動を続けてこられましたが、今までなにかのリーダーになるという経験がなかったので、この活動を広めていく上で必ず必要になる“自分の代わりとなるリーダー達”を育てなければいけないという事が本当に難しかったです。

組織を運営するのは大変なことも多いですが、1番うれしかったのは、道案内した人から後日、「今日のヘルプがすごいうれしかったよ。自分の国に来た時は私があなたのガイドになるからいつでも連絡してね」って初めてメールが届いたとき。まさに私が目指している「自分がやってもらって嬉しかった事を、自分が他の誰かにやってあげる」その優しさの連鎖を感じました。

キャプチャ

誰も知っている人がいない海外に行くのは怖いけど、世界中に友達ができたら、その国に行くハードルが下がる。海外に行って日本に帰ってきたら、当たり前の幸せを実感することができるようになる。そんな想いを生み出せる活動を、この団体がなくなる日までやっていきたいです。

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萩野谷さんの将来の夢・幸せへのハードルを下げること

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撮影:中村洋太氏

みんなが幸せって思える人生を過ごせる世界を創っていくことが私の夢です。世界から帰ってきたら、こうして何不自由なく日本で暮らせていることが本当に幸せだと思いました。大学生の時は誰かを助けてあげられない自分に苦しんでいたけど、もっと簡単に世界中の人を思いやれる自分になることができた。誰かのためになることで幸せになれる、広い世界に出ることで今手元にある幸せに気づく、そんなあなたのきっかけになれるのが「道案内ボランティアask me!」です。

 

 


 

萩野谷さんありがとうございました!