No.9 ~ダイヤモンドの本当の意味を目指して~特定非営利活動法人ダイヤモンド・フォー・ピース代表理事 村上千恵さん

 

No.9

「特定非営利活動法人ダイヤモンド・フォー・ピース代表理事」
村上千恵さん

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1973年生まれ。株式会社ピースダイヤモンド代表取締役。特定非営利活動法人ダイヤモンド・フォー・ピース代表理事。ダイヤモンドに関する課題の啓発、アフリカ等途上国におけるダイヤモンド関連労働者に対する自立支援プロジェクトを実施するため、非営利団体ダイヤモンド・フォー・ピースを2014年5月に創業、NPO法人として2015年3月登記。現在、日本国内でダイヤモンド採掘等における課題の啓発活動、リベリアでダイヤモンド零細採掘労働者自立支援プロジェクトを開始する準備を行っている。 ハイチ、ラオス、ケニア等で国際協力の仕事に携わった経験から、現地の人々が自立することが、貧困解消・犯罪減少・教育率向上・経済発展、ひいては平和につながると確信。 アフリカをはじめとする発展途上国で、零細採掘労働者とともにフェアトレード・ダイヤモンドを生み出し、持続的に流通させることを目指している。 2012年 横浜ビジネスグランプリ ソーシャル部門入賞。 2013年 社会的投資の国際会議SOCAPで日本人初の公認起業家として選出。

 

株式会社ピースダイヤモンド公式ホームページ

特定非営利活動法人ダイヤモンド・フォー・ピース
公式ホームページ

 

「ダイヤモンドに関わる全ての人をハッピーに」ダイヤモンドに携わるきっかけは、自身の婚約指輪だった―。

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特定非営利活動法人ダイヤモンド・フォー・ピースは、すべてのダイヤモンドが人道・環境配慮の上、採掘・カット・製造されることが当たり前の社会を目指しています。活動のきっかけは、自身がもらった婚約指輪でした。

女性なら誰しもが一度は憧れる、キラキラ輝くダイヤモンドの指輪。一生に一度の記念に、自らが選んだダイヤモンド。あまりに綺麗だったので、ふとそのダイヤモンドのルーツに興味が湧きました。きっとキラキラした楽しいエピソードがいっぱい詰まっているに違いない…。でも調べていくうちに、ダイヤモンドに対する期待は見事に打ち砕かれました。

遠く日本から離れたアフリカでは、ダイヤモンドは武器購入の資金源となり、鉱山やカット工場での子供たちの強制労働の問題など、美しい輝きの裏に隠れた黒い事実を、私は知ってしまったのです。「知ってしまった責任」というか、一度知ってしまったら、知らないふりはできませんでした。

もともと国際協力の現場での経験があったので、それを生かして何かできないかと考えた結果、まずエシカル(倫理的な消費)を広める活動をしようと思い、株式会社ピースダイヤモンドを2013年に立ち上げたことが、現在の活動にいたる大きなきっかけになります。「ダイヤモンドは愛と幸せの象徴」その本当の意味を目指して活動を続けています。

アフリカの水を飲んだものはアフリカに帰る―。現在の活動に至るルーツとは?

3人姉妹の長女で、厳しい家庭に育ちました。お小遣いもなく、実際はそうじゃなかったかもしれないのですが、家がすごく貧乏なのかと思っていました。笑

小学生3〜6年生の頃にポートボールチームに所属し、打ち込んでいました。朝練が週3回くらいあって、日曜日ももちろん練習があって、それ以外にも毎日自主練をしていました。自分の興味のあることはやるけれど、興味のないことは一切やらないような子供でしたね。

高校は帰国子女の多い学校だったので、結構海外に行くのが当たり前みたいな雰囲気はあったのですが、途上国に行く人はあまりいませんでした。そういう意味では、人と同じことをするのが大嫌いで、少し変わっていたのかもしれません。

学習院大学で経営学を専攻したのち、国際協力に興味があったので、アメリカのジョージ・ワシントン大学院に進学しました。休みの間に日本に帰るより、国際協力の現場で経験を積みたいと思い、学生時代は主にカリブ海のハイチや南部アフリカでボランティアをしていましたね。

ご縁ありハイチを訪ねることが何度かあったのですが、卒業してから現地の日本大使館の方に現地調査のお仕事を依頼され、半年ほどハイチで働きました。その後も日本に帰る気が無かったので海外で仕事を探していると、ご縁でJICAのラオス事務所に現地採用で入らせていただくことが決まり、現地の事務所にて2年程経験を積みました。

政府機関の仕事は事務作業が多かったので、もっと自分の専門的な知識や経験を身に着けたいと、一度日本に帰国しました。それから広告代理店やビジネスコンサルティングの会社などで働き、その後は一度自分で個人事業主として独立をしました。

しかし、不思議なことに一度アフリカにいくと、アフリカに再び呼び戻されることがあるんです。なぜか日本で働いていても漠然と、「どうしてもアフリカで働きたい」という想いが離れませんでした。「アフリカの水を飲んだものはアフリカに帰る」という有名な諺があります。一度アフリカに赴き、その水を飲んだものは、もう一度アフリカに帰ってその水を飲みたくなる、という意味です。

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今度は学生時代のようなボランティアではなく、実際に働きながらその場所に住みたいと思いケニアでの仕事に応募し、2009〜2011年、現地の保健省の職員のマネージメント能力向上を目的としたJICAの技術協力プロジェクトに派遣されました。

ダイヤモンドの実態に迫る。西アフリカはリベリア・シエラレオネへ―。

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婚約指輪をもらい背景を知ったことをきっかけに活動を開始し、2013年の春に、ダイヤモンドを巡り10年以上も内戦が続いたシエラレオネへ渡航、視察を行いました。首都からバスで8時間ぐらいかけてシエラレオネで最大のダイヤモンド採掘地域・コノへ向かい、実際にダイヤモンドの採掘場の現場を訪れました。

シエラレオネは良質なダイヤモンドの産出量が多いのですが、地主など権益を持っている人が得をし、実際に掘っている人たちは毎日50円ほどの賃金で働いていました。政府や彼らを平気で搾取している人たちからすると、別にそれは何の不便もないという雰囲気で、状況を変えようという感じではありませんでした。

2014年に隣の国のリベリアにご縁があり渡航。そこで色々とお話を伺った結果、リベリアはシエラレオネに比べるとダイヤモンドの産出量が少ないため、シエラレオネ程利権は大きく無いこと、経済的にも内戦が終わってまだ復興の兆しが見えない、ということもあり、みんなで頑張って経済や国を盛り上げていこうという気持ちがある国だということがわかりました。

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リベリアのダイヤモンド採掘場にて

採掘を担当している副大臣も採掘労働者を組合化したい、組合化するということは、フェアトレードの基本的な要件の一つなので、リベリア政府自体はフェアトレードに前向きな姿勢を示していることがわかりました。

それが2014年の5月のことで、その直後に、西アフリカ3か国で爆発的に流行した、エボラ出血熱の影響でダイヤモンド関連の活動は一旦中止し、エボラ出血熱に関するチャリティーを企画し、現地パートナーを通じて緊急支援を行ってきました。

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2015年8月22日「No Drum, No Life!」NPO法人設立記念チャリティイベントを開催。

株式会社ピースダイヤモンドとNPO法人ダイヤモンド・フォー・ピースの役割

会社としては、オーストラリアやカナダから産出されたエシカルなダイヤモンドを使ったジュエリーを職人さんに作ってもらい販売をしています。また、同じ志を持つジュエラーのみなさんにエシカルダイヤモンドを提供するサービスも開始予定です。エシカルダイヤモンドを通して、人生の節目にお客様がもっと幸せになれる事業を行っていきたいと思っています。
ダイヤモンドの産出国としてアフリカ地域がとても多いのですが、アフリカからはエシカルなものは現在無いので、アフリカのダイヤモンドのエシカルを追及するプロジェクトをやりたいと思っていたのですが、それをNPOとしてやったほうがしっくりくると思い、株式会社とNPOに活動を切り分けることにしました。採掘現場で働く労働者、研磨工場で働く技術者やデザイナー、ダイヤモンドジュエリーを贈る人、装う人全てがハッピーになる仕組みを目指しています。

バリューチェーン(原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を、一連の価値(Value)の連鎖(Chain)としてとらえる考え方)でいうと採掘してそれを雇う人がいて輸出されてカット工場があって、というところまではNPOの方でカバーをして、その後製造とか企画とか色々あると思うけれど、そういう方は会社がカバーしようという感じで、バリューチェーンの真ん中で切って考え、組み分けをしています。今後お互いの組織の利点を生かしながら、もっと現地との密度の濃い活動を展開していきたいです。

女性起業家ならでは?!初海外でケニアを訪れた旦那さんとのエピソード。

旦那さんは普通のサラリーマンです。旦那さんはよくいく飲み屋さんの常連でした。カウンター席しかないお店で必然的に仲良くなり…というのが出会いです。

旦那さんが私の働くケニアに来たときのことです。旦那さんは英語が全くできないのですが、私が勝手にネット通販で買って日本の自宅に送っていたものを全部持ってきて、と言っていたので、スーツケースが日本食だらけで、やっぱりケニアの税関で英語ができないから「何が入ってるの?」って聞かれても分からず…。中身を見せろっていうから見せたら、電化製品とかだと税金がすごくかかるのだけど、入っていたものは食品なので「なんだ、食い物か」って雰囲気で通してもらって…。その時は、しどろもどろしているところを遠くから眺めていましたね。笑

結婚する前から、私は絶対海外で働くって宣言していて、その後ダメって言われても困るので、「行っていい?」とは聞かず、応募をしていたことも知っているので「行くから」っていう宣言をして、アフリカで仕事を続けていました。

女性起業家として輝かしい実績をもつ村上千恵さんより、次世代を担う20代の女性たちへ―。

2キアラメンバーと村上さんでお写真を撮影させていただきました!

私は会社とNPOの両方の代表をしていますが、やはり人間一人でできることは限られています。時間も資金も人脈においても、活動を広げていくにあたって、いろんな人に協力してもらえる環境作りが不可欠です。

会社を始めた時に、ジュエリーを作るにあたって、私は今までジュエリー業界にいたわけではないので、一緒にやってくださる方や作ってくださる方を見つけなければならなかったことには本当に苦労しました。最初は、友人の紹介でとある職人さんのところに行って「作ってくださいませんか?」というお話をしたのだけど「そんな素人がふざけんな!」と言われて3時間ぐらいお説教されたりしたときもありましたね。(笑)

活動を続けていると協力してくださる方が不思議と絶対現れるもので、業界でとても有名な方に繋がることができ、活動も拡大していきました。信念をもって続けることが大切です。

今の若い人達は、私の年代よりもとても機会に恵まれていると思います。私が20代の頃はボロ雑巾のように、まずは働かなくちゃいけない―。みたいな時代、ありましたね。今はもうそのような考えに縛られずとも、本当に自分のやりたいことに、自由な発想で打ち込める環境というのが、手を伸ばせばすぐそこにあるように思います。

本当に自分がやろうと思ったことを突き詰めていくことが大切です。そこにまた違う新たな平野がみえるというか、とにかく何でも自分のやりたいことを中途半端じゃなくてやるだけやってみるというのが重要。

私も既存の考えにとらわれずに、今後もダイヤモンドに関わる諸課題の解決を目的に、今後ますます活動に力を注いでいくつもりです。みなさんも頑張ってくださいね。

村上千恵さん
ありがとうございました!